オンライン(一部対面)講座「デスティネーションマネジメントESSENCE」
■本コースの概要と目的
「観光立国」を掲げるわが国において、訪日外国人の急増、観光による地方創生といった背景により「デスティネーションマネジメント」(観光地域経営)の必要性が認識されるようになってきました。観光庁では2015年にDMO登録制度を設け、その形成・確立に向けた支援に取り組んでいます。しかしながら、わが国ではデスティネーションマネジメントの概念やそれを具体的に実践していく手法について体系的に整理されていません。本講座では欧米におけるデスティネーションマネジメントの概念を整理した上で、その具体的な手法や事業の組み立てについて事例をもとに学びながら、実践的に活用できる手法を習得することを目的としています。観光行政の幹部職員やDMOのCEO/CMOが担える程度の知識とノウハウを身につけることを到達点とします。
▼詳細・申込は以下より
https://www.kyodai-original.co.jp/open-academy/program/?no=29
■授業内容と進め方
講義によりデスティネーションマネジメントの基本概念を理解する。そしてデスティネーションマネジメントの構成要素を整理した上で、その要素ごとに事例を通して実践的な手法を学ぶことでデスティネーションマネジメントの方法論を理解する。さらに、特定観光地域を選んでケースメソッドを活用して、その地域における観光戦略策定をとおしてデスティネーションマネジメントの実践方法を身につけることとする。
■授業計画
【形態】 原則的に本コースはWebセミナーの形態とする。
※第1回および第19・20回のみ京都大学にて実施予定(状況により変更の可能性有)
【コース選択】以下の3種類のコースから選択することができます。
【A】コース:多彩な講師と直接やりとりできる「リアルタイム講座型」コース
〔こんな人にお勧め〕
・デスティネーションマネジメントの基礎を一から学びたい
・デスティネーションマネジメント各要素の専門家と直接話をしたい
〔受講生に求められること〕
・最終回にデスティネーションマネジメント計画を発表すること
・時間的に余裕があれば参考文献を読んで受講に臨むこと
【B】コース:動画視聴の事前学習を踏まえた討議中心の「実践的ケース探求型」コース
〔こんな人にお勧め〕
・デスティネーションマネジメントに関連する実務に携わっている人
・いまの職場で携わるデスティネーションマネジメントの業務に活かしたい
・現場で取り組むべきデスティネーションマネジメントの各種方策を具体化したい
〔受講者に求められること〕
・各回の講義(動画)を事前学習した上で討議セッションに参加すること
・講義(動画)の最後に提示される宿題を準備して討議セッションに臨むこと
・最終回には実際に実施するデスティネーションマネジメント計画を発表すること
・各回2時間の討議セッションにおいては積極的に発言を行うこと
【C】コース:一流の講師陣の講義を自分のペースでオンラインで学べる「講義受講型」コース
〔こんな人にお勧め〕
・時間的に余裕があまりないが観光分野の一流の講師陣の話を聞いて学びたい
〔受講生に求められること〕
・一定の期間にクラウド上にストックされている講座を視聴すること
★所定の項目を受講したA・Bコース受講生には京都大学経営管理大学院から「終了証」が発行されます。
【日程】
7月03日(土)7月10日(土) 7月24日(土) 8月21日(土) 9月04日(土)
9月18日(土)10月02日(土)10月30日(土)11月13日(土)12月4日(土)又は5日(日)
(注)7月3日と12月4日又は5日は京都大学で開催予定
【時間割】
【A】コース
10:00~12:00午前の部「講義+質疑(90分)」+「振り返り+全体討議(30分)」
13:00~14:00午後の部「講義+質疑(90分)」+「振り返り+全体討議(30分)」
【B】コース 16:00~18:00(講義事前視聴の上、各セッション60分の発表・討議)
【C】コース 指定期間内に視聴して自己学習
【受講料・定員】
【A】コース 198,000円 定員25名
【B】コース 242,000円 定員10名
【C】コース 99,000円 定員25名
■主催/共催 京大オリジナル株式会社/DMO推進機構/京都大学経営管理大学院
【講師・講座タイトル】
○第1回「開校式/オリエンテーション」
【講師】大社 充
【内容】オリエンテーションとして本講座の進め方について説明するとともに本講座のテーマとなるデスティネーションマネジメントの考え方を整理して解説を行います。
○第2回「京都の景観政策と観光まちづくり」
【講師】宗田好史(京都府立大学教授)
【内容】観光地において景観は極めて重要な要素となります。京都市では平成19年に策定した建物の高さ規制やデザイン規制,屋外広告物の規制等を全市的に見直した「新景観政策」に取り組んでいます。これら京都市の景観政策の考え方や導入の背景、その成果などについて学びます。
○第3回「地域マネジメントにおけるアドボカシー活動」
【講師】松原 明(協力社会代表/元・市民活動を支える制度をつくる会事務局長)
【内容】デスティネーションのマネジメントを行うには、企業マネジメントと異なる考え方や方法論が必要となります。企業経営においては経営学という学問があり、その手法が体系的に確立されていますが、地域マネジメントにおいては、その手法が確立されていません。複雑な利害関係者が共存する地域において、方向性を指し示して同意をとりつけ、目指す着地点に向けて人や組織を動かしていくための手法について考えます。
〇第4回「持続可能な観光の考え方と地域への実装」
【講師】高山 傑(JARTA代表理事)
【内容】わが国では訪日外国人旅行者の急増等の要因により、観光地に暮らす地域住民の生活環境に影響が出始め、2018年夏、持続可能な観光地域づくりに向けた対応策を検討する「持続可能な観光推進本部」が観光庁に設置され、2020年に「持続可能な観光のガイドライン」が発表されました。この持続可能な観光の考え方とその地域への実装について考えます。
〇第5回「JNTOにおけるデジタルマーケティングの取り組み」
【講師】吉田憲司(JNTO企画総室デジタルマーケティングセンターセンター長)
【内容】デスティネーションマーケティングにおいてデジタルマーケティングは不可欠な取り組みとなっています。JNTOのデジタルマーケティングの取り組みをケースに、その手法や具体的な展開について学びます。
〇第6回「プレイスブランディングの考え方とその手法」
【講師】宮崎裕二(東洋大学国際観光学部)
【内容】国際的な観光市場においてデスティネーションを際立たせ、他のデスティネーションとの差別化を図ることは極めて重要な取り組みとなります。英国・日本・米国加州でブランド・マネジメントに取り組んだ経験をもつ講師からデスティネーションブランディングについて学びます。
〇第7回「ケース観光地『美山町』について」
【講師】青田真樹(南丹市美山観光まちづくり協会)
【内容】本講座ではケース観光地におけるデスティネーション戦略を策定することが求められます。そのケース観光地となる京都府南丹市美山町の情報を共有します。(感染状況によりますが、8月下旬に現地フィールド調査を予定しています。また、受講生の担当地域をケース観光地として戦略策定に取り組むこともできます)
〇第8回「観光地における交通マネジメント ―MaaSを含むー」
【講師】河田敦弥(国交省モビリティサービス推進課長)
【内容】来訪者を受入れる地域において交通マネジメントは重要な課題です。二次交通が不足する観光地においては移動手段の確保が必要になり、混雑が発生する観光地においては地域住民の暮らしへの悪影響を回避しなくてはなりません。近年、わが国でも取り組みがはじまったMaaSの実践的事例も学びながら、地域交通マネジメントのあり方を考えます。
〇第9回「スポーツツーリズムにおける地域マネジメント」
【講師】原田宗彦(大阪体育大学学長/スポーツツーリズム推進機構会長)
【内容】東京五輪やワールドカップに代表される国際的なビックイベントのほか、スノーリゾート開発やスポーツ合宿、各種アクティビティなどスポーツを集客コンテンツとした取り組みは、近年、急速に広がりつつあります。スポーツツーリズムの考え方とその手法について学びます。
○第10回「観光による地域経済へのインパクト分析」
【講師】中澤純治(高知大学地域協働学部准教授)
【内容】観光は裾野の広い産業といわれています。観光客が訪れることで地域がどのように経済的恩恵を受けているのかをデータで明示することは必要不可欠となりますが、そうした客観的データは必ずしも多くありません。観光による地域への経済波及効果を分析する手法について学びます。
○第11回・12回「『確率思考にもとづく戦略論』の実践手法」
【講師】表 孝憲(株式会社ミツカリ代表取締役)
【内容】マーケティングの第一人者である元USJの森岡毅氏が著した『確立思考の戦略論』(角川書店・2016)に記されるその実践的手法を短時間で分かり易く習得する。講師の表氏は、統計学を活用した人材系サービスを開発した起業家で、統計学にもとづいた戦略立案の手法について演習も行いながら学びます。
○第13回「観光地の安全管理とリスクマネジメント」
【講師】高松正人(観光レジリエンス研究所代表)
【内容】観光地における安全管理はとても重要な要素となります。来訪者の安心・安全を確保し、地域の事業者の事業継続を守り、「減災」「危機への備え」「危機への対応」「危機からの復興」というプロセスとともに、常日頃から意識して準備しておくべきことを学びます。
〇第14回「ハワイ州政府観光局(HTA)に学ぶ ―観光振興と住民のライフクオリティー 」
【講師】木村恭子(ハワイ州政府観光局(HTA)理事)
【内容】世界的にも先駆的DMOといわれるHTA(Hawaii Tourism Authority)の取り組みから学びます。特にミッションのひとつ「住民のクオリティオブライフの向上に貢献する」を、HTAがどのように指標化して成果を評価し、実現に向けた取り組みを行っているのかを学びます。
〇第15回「事業促進環境(人材・品質管理・投資)の整備」
【講師】大社 充
【内容】デスティネーションマネジメントにおいて域内の事業者の事業促進環境を整備することはとても重要な要素となります。人材の確保、新たな施設の誘致や投資環境の整備、また商品・サービスの品質管理など、観光地のブランド管理と整合性をとりながら域内の事業促進環境を整える取り組みについて考えます。
○第16回「MICEのメカニズムと地域のMICE振興」
【講師】川島久男(川島アソシエイツ代表)
【内容】ツーリズムの対象は必ずしも観光客に限定されません。ビジネス目的の来訪者を集める手段として有効なのがMICE事業です。わが国でもコンベンション施設の建設やコンベンションビューローの設置などMICE振興に取り組んできましたが、これまでの取り組みとともに今後に向けた課題を学びMICE振興の進め方を学びます。
○第17回「観光系サービスにおけるイノベーション」
【講師】前川佳一(京都大学経営管理大学院特定教授)
【内容】近年、ビジネス関連の情報において「イノベーション」という単語を目にしないことはありません。しかしながら、このイノベーションという言葉は正しく理解されているのでしょうか。主にサービス業を主軸とする観光系事業におけるイノベーションの考え方を経営戦略的な立場から解説します。
○第18回「総括Q&A」
【講師】大社 充
【内容】ここまでの授業を振り返り、受講生の疑問にも答えながらデスティネーションマネジメントの視点にもとづいた戦略立案について整理して考えていきます。
○第19回・20回 発表「観光地Aにおけるデスティネーションマネジメント戦略」
【講師】前川佳一/大社充
【内容】各自が策定したデスティネーションマネジメント戦略を発表していただきます。