2月1日、東京ウイメンズプラザ(渋谷区神宮前)で第3回DMO全国フォーラムが開催されました。
午前は、「財源」「人材」「制度設計」という3つの分科会が開催され、午後は、「地方創生推進交付金は観光地域振興のための交付金だと考えられる」と語る観光庁観光地域振興部・平岡成哲部長の「DMO形成・確立に向けた取り組み」のプレゼンテーションがあり、続いて各分科会の話題共有とともに、3つのDMO(山陰・するが・秩父)の責任者が登壇して全体会が行われました。
「人材」の分科会では、DMOサイドが求める専門人材をDMO・DMCに送り出してきた日本人材機構での経験から見えてきた課題を田蔵大地氏がプレゼンテーションを行うとともに、外部からの専門人材としてDMOに採用された、するが企画観光局CMOの片桐優氏がコメンテーターを務めました。専門人材も必要不可欠ですが、そこで働く有能なスタッフの確保も課題として指摘されました。
▲第1分科会のテーマは「人材」。求められる能力やスキルについて討議
「財源」の分科会では、フェスティバルシティを目指す静岡市の文化観光部の中島一彦部長から、世界的規模に発展してきているエディンバラ・フェスティバルの運営組織とその財源についてのプレゼンテーションがあり、わが国のNPO法創設に深く携わってきた松原明氏が、NPOの一種としてDMOを見たときの資金調達の考え方にについて補足解説を行いました。公共的資金と民間ステイクホルダーからの資金、そして収益事業という3種の財源を織り込むことで、官民の関係性を適切に保とうとする「3分の1ルール」についても、その考え方が整理され、DMOにおいては、「ステイクホルダー・マーケティングが重要」というこれまでには、あまり語られなかった概念提起がありました。
▲第2分科会のテーマは「財源」。3分の1ルールについても解説
「制度設計」の分科会では、熱海市が目指す熱海版DMOの形成に向けて、いま同市で取り組んでいる特定財源(宿泊税)とDMOへの業務の移管、権限の分担に関する考え方について立見修司氏から解説がありました。熱海市では「DMO形成は、行政機構の改革である」と位置づけ、行政内部の業務をDMOに移管するとともに、臨機応変に事業が執行できるようDMOの裁量を高めるための官民連携のスキームについても解説がありました。この分科会では、秩父もてなし観光公社の井上正幸氏がコメンテーターとして出席し、観光行政、観光協会、そして現在の公社という3種の組織での経験をもとに官民の在り方について意見を述べました。公共的な役割を果たしながらも、官の関与を最小限にするため民間資金を重視する秩父おもてなし観光公社の在り方と、正面切って特定財源の創設から制度づくりまで含めて取り組む熱海市が目指すDMOの在り方との対比が分かりやすく説明されました。
▲第3分科会「制度設計」。熱海市版DMOの考え方を立見氏が解説
●分科会のプレゼンテーションデータ
・第1分科会 1-Takura-small
・第2分科会 2Nakajima-small_1 2Nakajima-small_2 2Nakajima-small_3
・第3分科会 3Tatsumi-small_1 3Tatsumi-small_2
●全体会のプレゼンテーションデータ
・山陰インバウンド機構 Fukui-small
・するが企画観光局 Katagirri-small_1 Katagirri-small_2 Katagirri-small_3
・秩父観光まちづくり公社 Inoue-small_1 Inoue-small_2 Inoue-small_3 Inoue-small_4